2019冬 南東北いきかえりの旅 Day6-⑥ 山形座 瀧波④ 夕食編


夕食はダイニング 「1/365」で。
この日は宿泊は5組ということで全員オープンカウンターで18:00一斉スタートとのこと。
こちらでは是非このオープンカウンターで食事を戴きたいものです。
というのも、こちらの夕食はまさに「ライブ」なのです。
アリーナ(カウンター)でないと、スタンド(個室)では醍醐味は味わえません。

ダイニングの前にはズラッと十四代を中心としたお酒たちが。

一人ひとつづつのメニューの表にはこのようなポリシーが謳われています。

メニューは見ても詳しい内容はわかりませんが大丈夫。
それぞれ供された後にオープンキッチンでシェフから説明があります。
まさに瀧波劇場。そのための一斉スタートだったのですね。

また、チェックイン時に別注で鱈の白子をオススメされました。
薦められると断らない私、迷いなくお願いしました。

カウンターは控え目にライトアップされた落ち着いた雰囲気で隣席の方もそんなに気になりません。

コースに合わせてマリアージュするお酒を出していただけるとのことでこのマリアージュセレクションをお願いしました。
80cc×6種で\4,000/人。50ccで\2,500/人もあります。

お冷は飯豊山の湧水をご自由に。
こういう方が好きに飲めて好きです。

料理長が山で採ってきたというクルミが。

整然としたキッチンに否応なく期待が高まります。

マリアージュセレクション以外にもいろいろと銘柄があります。

ワインもいろいろとあります。
写真がないということはソフトドリンクなどには興味がなかったんでしょうね、私(;^ω^)
ちゃんとメニューにありましたよ。

箸置きにも意匠が凝らされて。

まずは最初のお酒は、「第一楽章 まずは華やかに」から
酒田市・楯の川酒造「Nature-H 〜Sparkling〜」純米大吟醸。
穏やかで心地よい発泡感と、絶妙に調和がとれた甘味と酸味。

ではコース
静寂深「大地 深々となる頃」
スタートです。

◆冬到来
置賜・山形 伝統野菜 糧物。
糧物(かてもの)とは保存食のこと。
折敷で出されたのは山形の在来種を使った八寸。

・上杉冷汁(ひやしる)
米沢の伝統料理で保存食と季節の野菜の和え物。
出汁は干椎茸と干貝柱。
保存食は凍み豆腐、野菜は紫白菜とウコギと紅大豆。
こちらでは冷汁は定番のようです。

・雪菜のお浸し
米沢の上長井でしか採れない雪の下で熟成させる雪菜と山浅葱をお浸しで。
雪菜を食べられたのは幸甚。
滋味深いと言わずしてなんと言おう。

・干し柿とイグチタケの胡麻酢和え
上山名産の保存食である干し柿と山の幸イグチタケ。
甘味と滋味が絶妙なハーモニーを奏でる。

左から
・宇津沢かぼちゃの金団
砂糖不使用で塩のみで味付けしてあり素材自体の味わいがグッと引き立つ。
・べにしらがね?と聞こえたのですがググッてみてもわからない
豆の甘煮のような感じでした。
・アケビの皮に舞茸の鶏煮?と聞こえたのですが鶏そぼろのようなものと舞茸を裂いたようなものが入っていました。
アケビ、美味しいですよね。

呑むペースが速すぎてマリアージュセレクションがおっつかないので別のものを挟みます。
十四代 秘伝 玉返し \1,500/100cc
高いなぁ~と思いつつせっかく山形だし数十年ぶりに呑んでみますか。
まあなんつうか、昔の彼女が相変わらずお綺麗でいてくれたな、という感じ(笑)

◆白の中に
・焼蕪
蕪のスープ。器の蕪も美味しかった。
こちらでは蕪のスープも定番のようですね。

「第一楽章 まずは華やかに」から
福島県・仁井田本家「しぜんしゅ生もと」しぼり生
ボディがありつつ心地よい甘さを感じる軽快な味わいで食前酒っぽい。

◆最上川
置賜から庄内へ
左から
・塩引鮭
麹に一か月漬けて発酵させ、熟れ鮨風に。
・もってのほかの巴巻き
蕪かな?で巻いてあります。もってのほかとは山形で食される食用菊。
・モクズガニ
殻を潰して出汁と味噌を和えて固めてある
・寒鮠
支流の朝日川で獲れたもの。焼いて揚げて甘露煮に。
・寒鮃の造り
山葵は朝日町の沢で栽培されたもの。

器は湯河原の村上圭一さん作。

どれも実にいい酒肴でした。
また地元のストーリー仕立てってのがいいですよね。

「第二楽章 お魚料理を辛口のお酒で受け止める」
長井市・鈴木酒造店「磐城壽 アカガネ」
穏やかな熟成感と密度のある旨味ががあり、確かに魚に合う。


【別注】鱈白子の天ぷら
わはは、もう今回鱈白子祭りだね(笑)
天つゆと塩と両方で、が味変できていい。

ここで更に十四代の槽垂れ。
アナタも相変わらずね。



◆山・里・海二題
・日本海旬肴
庄内浜で獲れた甘鯛の薯蕷蒸し 零余子、銀杏、庄内沖飛島の磯海苔を添えて。
薯蕷蒸しに零余子ってマリアージュするに決まってるじゃないの。
そして甘鯛はただひたすらに優しい。
そして飛島の磯海苔、これが実に美味。
やはり椀物は料理人の腕が出る。

器は輪島塗

第三楽章 地野菜と天童の全量純米仕込蔵の共鳴
天童市・水戸部酒造「山形正宗 純米吟醸 雄町」
食事を引き立てるが、酒だけでも旨い。そういう酒ですな相変わらず。

・山形地鶏白雪にて
オーガニックな白菜で包んで豆乳スープで煮たもの。ビーツをのせて。
豆乳スープは濃厚。
ロールキャベツのような趣ですね。

器は有田焼陶悦窯。ちょっと気にいったかもしれない。

龍が4つで「テツ」と読むそうです。
見たことのないお酒だったので頼んでみました。
やわらかく上品な味わい。

◆冬籠り
米澤豚一番育ち 根菜でくるんだもの
置賜ネギ、きたあかり、金谷ごぼう、山葵菜。
山形産のホップや香草で煮たもの。

器は山形市平清水焼青龍窯丹羽良知氏が残雪をイメージして焼いたもの。

第四楽章 米沢牛・米沢豚一番育ちとの力強いハーモニー
新潟県・加茂錦酒造「荷札酒」

このあたりでご飯を炊きはじめます。

器は四日市の萬古焼。

炊きあがったら火から下して蒸らしー(^^♪

と、ここでライブはピークを迎えます。
若いシェフが取り出したるは米沢牛を焼き上げ。

丁寧に盛り付けを済ませたら。

◆置賜
米沢牛イチボのステーキ
付け合わせにフローズンにした葡萄(ピオーネとシャインマスカット)。
薬味として紅くるりとサン富士を混ぜたもの(右のオレンジ色のやつ)、醤油麹、山葵、ニンニク、庄内浜の塩。
上に散らしているのはクロモジ。

薬味がいろいろあって飽きないどころかもっとお肉頂戴(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
普段、肉は3切れぐらいで胃もたれする私が久しぶりに「もっと欲しい」と思いましたね。
まさに「アンコール!」と右腕を突き上げながら叫びたい気持ちです(笑)

同じく第四楽章 米沢牛・米沢豚一番育ちとの力強いハーモニー
天童市・水戸部酒造「六根浄 純米酒 生もと造り」
なるほど、これが最後なのがよくわかります。
後味のキレが素晴らしい。
コイツのせいだろうか、米沢牛をスッキリ戴けたのは。

◆瀧波の芋煮汁
鰹節と鮪節を引いて。
里芋、蒟蒻、長ネギ、牛バラ肉の醤油味といった置賜あたりのベーシックな芋煮だがかなりあっさりした味付け。
まぁ本当のは県外の人には味強すぎるもんなぁ(笑)

椀は山形県真室川漆器、佐藤学氏作。

◆馳走
南陽のお米を土釜で。お米はコシヒカリ。
見事に粒が立って素晴らしい炊きあがり。
もちろん、美味しい。
これは炊き込みとかにしちゃダメな米。

漬物は山形青菜、クキ菜(すぐき)、薄皮丸茄子。
これがどれも美味しくて。
特に薄皮丸茄子、実に美味しかった。

クロモジ茶で口中スッキリ。

最後に「くどき上手 Jr.の未来」
マイルドで艶やか。

◆お楽しみ
山形産の最上早生の蕎麦粉と"でわかおり"という蕎麦粉を2種類使った十割蕎麦。
こちらのお決まりですね。
もう熱狂のライブも終わりが近づいてきました。

蕎麦湯

◆デザート
・イチゴのショートケーキ
砂糖不使用、オーガニック。甘味は南陽市の蜂蜜。
イチゴ、ラ・フランス、リンゴすべて南陽市のもので雪室で12月から熟成。
ラズベリーソース。

このケーキ、美味しかった。
滅多にデザートで感激しないんだけどなんだか本当にいい甘さだったんですよね。


残ったご飯は塩結びでお部屋へお持ち帰り。
夜中に食べたけど、冷えてても美味しい。

念願の瀧波のライブ、食べ終わってもまさに熱気冷めやらぬのでした。
ものすごく高級な食材があるワケでもない(米沢牛ぐらいか)、しかし地の食材をふんだんに使って瀟洒なステージに仕上げている。
私は、こういうのが一番好きなんだなぁと改めて実感させられたお宿でした。

Jan. 23, 2019 Wed.



山形座 瀧波旅館 / 赤湯駅南陽市役所駅
夜総合点★★★☆☆ 3.9



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