御宿かわせみさんの食事はすべて部屋食。
時間は18:00 or 18:30 or 19:00。
食いしん坊なウチはモチロン18:00で。
15分ほど前にはテーブルセッティングに仲居の馬庭さんがいらっしゃいました。
ドリンクはまずはいつものヱビス。
グラスもうすはり。美味しい。
うはー最初から設えがホント美しい。
箸染とともに供されたのは食前酒。
南会津の国権、にごり酒。
近くではないものの同県内のお酒を出してくるあたりが郷土色を感じられていいですね。
器がいいですなぁ…。
この盃、売ってたら買ったんだけどなぁ。
ってことでいつもは中身の写ってない器の写真は撮ってはいるものの割愛しているのですが今回は器も重要なので写真多めになりますすいません(;^ω^)
メニューも名前入りの手書きのもの。
素朴ながら期待させる感じですなぁ。
1月ということで鶴をモチーフにした器で賑やかに、というご説明が。
◆箸染 ブロッコリーのムース
上にはキャビアと山葵が。
一緒に口に含むとまさに三位一体でキャビアのプチプチした食感とムースの柔らかさの妙、爽やかなブロッコリーの味とキャビアの塩味、山葵の刺激が複層的に絡み合う。
ここでなにやら戴きました。
私の誕生日が4日後ということでプレゼントしていただきました。
中身はこのようなグラス。
ちょっとしたことですけど嬉しいですねぇ。
赤ワインは Infiniment - Château de l'Ou 。
重厚で芳醇で実に美味しかったなぁ。
ワインクーラーで冷やされて供されます。
一緒にやってきた日本酒は仁井田本家の穏 純米吟醸。
錫製の片口とガラスのお猪口で。
チェイサーも提供されます。
◆先附 初筍と北寄貝の蕗の薹白和え
寒独活とウルイとともに。
この白和えが恐ろしくクリーミーですべての具材を包み込んで面白い調和をする。
◆お椀 海老糝薯もずく椀
上に載っているのはバチ柚子?といったかな?の皮とうぐいす菜。
海老糝薯を口に入れるとちょうどいい感じでホロッとほどけ口中にじんわり味が沁み込む。
もずくと相俟って面白い食感と優しい味わい。
ここまでの導入部でしっかり優しく胃が起こされます。
◆前菜 初春の盛り合わせ
蓋を開けますとこのような感じ。
華やかで、いろんなものがちょこっとづつ素晴らしい酒肴でございますねぇ。
・虎ふぐ唐揚
ふぐは唐揚げが一番美味しいと思っている私、この唐揚げは味付けが濃すぎず薄すぎず絶妙でした。
日本酒でとともに流し込むと喉から鼻に上がってくる香りが実に甘美な芳香。
・会津蒟蒻かぶら寿司
上には松前ソースがかかっています。
蒟蒻とは思えず一瞬、山女魚か岩魚あたりの刺身かと思ってしまった。
実に清冽な味わい。
・金時人参のテリーヌ
これまたクリーミーでテリーヌというよりムースのような。
舌の上で潰した時にふわっと金時人参の味がひろがりつとめて芳純。
・自家製出来立て唐墨
私、唐墨は苦手だったのですが、蕪で挟んで食べるこの逸品は素晴らしく美味。
滑らかな舌触りにゆっくり噛むと甘さがさらに膨らみます。
・フォアグラムースとおかき長芋
なるほど、かわせみさんでムースというとこの柔らかさまでいくのですね。
フォアグラはいつだって裏切らない、いつもの美味しさですがムースでというのは初めて。
おかき長芋というのと一緒に口に入れると溶けて消えます。
・白子豆腐
白子のふくよかな味をさらに濃縮したような味わいと舌に絡みつくねっとりとした食感が愉しい。
・虎ふぐやわらか煮凝り
ふぐの煮凝りというとふぐ皮のものをよく見ますがこれは身もしっかりと入っております。
そしてポン酢で食べることが多いように思いますが、こちらはしっかりとした出汁の利いたソースで。
◆別注 焼き胡麻豆腐
焼胡麻豆腐といえば京都のじき宮ざわさんが有名ですが、こちら御宿かわせみさんでも2015年、師走の先附として大人気だったとのこと。
期間限定で復活とのことで態々予約を取り直して”熱々とろとろのオーブン焼き”の胡麻荅冨付のコースに変更いたしました。
本当に中身はとろ~りとろとろ、豊潤な味わいはいつまでも味わっていたいのにすっと溶けていってしまう。
この「もうちょっと欲しい」感がいちばんいいですよね。腹八分目じゃないですけど。
◆お造
日の丸皿と鶴形皿で正月っぽく。
・本鮪造り
赤身と大トロ。
青森は三厩で上がったものです。
土佐醤油で。
いやあそりゃもう美味しいですわよ。
・天然鮃造り
オリーブ醤油で。
鮃ってなんでこう美味しいんですかね。
◆吟味特撰 寒黒あわびの雲丹グラタン
寒黒鮑と雲丹に加えてズワイガニ、菜の花、下仁田ネギ、海老芋が入ったグラタン。
なんとも贅沢な逸品です。
7分ほど煮込むとネギがいちばんですがいろんな具材がトロットロに。
黒鮑はもちろん素晴らしい火加減で柔らかく、滋味深い。
そしてすべて美味しいに決まっているのですが、いろんな味が混ざったグラタンソースに浸した下仁田ネギと海老芋の美味しさ!
まったりとコクのある味が口の中にとろけるように広がります。
この月替わりの吟味特撰、京懐石のコースの中にあってひとつ、スペシャリテとして存在することに違和感を感じる方もいらっしゃるやに聞きますが、これはこれで面白いかなぁと思いました。
何よりメニューが毎月変わることで「また行きたい」と思います。
だって2月になって吟味特撰は「伊勢海老とノドグロと帆立のかわせみ流アクアパッツァ」ですよ。
今月もまた行きたいじゃないですかもう(笑)
◆口替わりのだいだいソブレ
濃厚なメインの後ですからいったん口をキャンセルしませんとね。
◆進肴 甘鯛トリュフ蕪蒸し
酒蒸しにした甘鯛を摩りおろして、刻んだトリュフと百合根を合わせた聖護院蕪で包み蕪蒸しに。
フワフワ柔らかい蕪蒸しの中に歯ごたえがありながら口に入れるとホロッと解ける甘鯛が。その合間合間にトリュフの香りが立って五感で楽しめます。
京都のグジの丁寧に焼いたんも大好物ですが、この食べ方もいいですねぇ。
◆食事
・ご飯
は喜利飯で供される。
・芯取菜と油揚げの赤出汁
江戸野菜の芯取菜、歯ごたえが面白くそしてなんだか口中がスッキリしますね。
・仙台牛炭火焼
ご飯と同時に仙台牛。
上に載るのはタスマニアマスタード。
このちょこっとしたサイズがちょうどいい。
・香の物
赤カブと白菜。
こういうなんでもないものもひとつひとつ丹念。
◆水菓子と甘味
雪輪盆に熨斗蓋物で。
・いちごアイスクリームの最中
・あんぽ柿のケーキ
間に挟んであるマシュマロが絶妙な食感。
お茶が出て一息つく。
こんなに食後も味をかみしめるような気持ちは久しぶり。
コースターも綺麗。
そして温泉に行っている間にお蒲団敷いてもらって。
帰ってくるとキレイに敷かれたお蒲団の脇の座敷机の上には冷たいお水と
夜食のおにぎり。
梅とおかかだったかな?
寝酒とともにパクリンチョ。
最後まで美味しいですなぁ。
端正な京懐石のなかにもほのかに漂う郷土色。
そしてスペシャリテに豪奢なメイン料理。
そこに最高のおもてなしが相俟って実に素晴らしい空間、料理であると思います。
これはまさに”かわせみ流日本料理”。
唯一無二の、ここに来ないと食べられない料理であります。
Jan. 21, 2019 Mon.
御宿かわせみ (旅館 / 花水坂駅、飯坂温泉駅、医王寺前駅)
夜総合点★★★★☆ 4.0